今生にかえした土を頬張れば 陽に怯えるるたねの潤い
問われずも陰りを持たぬ数日のむかしの春を思いはべりぬ
なるようになる運命を信じるかそれともひとり変身するか
欲望を統べる理性を支えうる金と性とはまた欲にさり
はかなさに友ぞあらんと見渡せばはかなきものに飽いて菜の花
すいこんだ息をまた吐く時の間に 未だみぬ我とすれ違いたり
肩書きの良き叔父上にソノトオリ君は似てるよ親親の日々
結局ひとり生きるのを怖れて心あそばしてそれを聴けとは
少女とは忘我の果てに居るきみの小さなの灯り持つ強情屋
梅をみに走りに出れば肌寒く心の隅を撫でて帰りき
余韻とはあたためたくて話すのにあたためられて帰る不思議さ
宣伝は無情世に来し幸不幸 全て平らに送る電線
生きていて一応飯が食えてなお子供が夢を持っている幸
数分で今日が終わると一つことやり残すべきかべからずかさえ
鼻先を風上に向け街を知り未来をも知る仔犬うつくし
いつの日かどこか一人で旅をするぼくがこの地も思い出すかな
島国に住めど島だと気づかぬがおのころに来て知る島ごころ
雨の日にどこに行くのと聞かれたよどこでもないよと呟いた午後
スガシカオ聴かせてみたりして噛んだ革手袋に残る君の血
気がつくと足のどこかが毛に触れて そこに居るの とまた声が出る
そのまんま自分を見つめて居ることで君は素敵な君になるのさ