短歌2011

2011

赤錆の鉄管熱す夏過ぎて何かしらまた中を通らん

河下へ向かう水面に微かにも逆流のあり真理と見たり

秋雨の隙みて座る長椅子はザクリの砂のこちら側なり

初めてのこの公園のこの木でも言ってあげよう会いに来たよと

まず君に惹かれたことを認めようそして目移りして居たことも

こつこつとある正確で地を打てりどんぐりの音や昼はいつぞや

彼の人のかろき姿を想いつつ我は歩まん是非も是として

それぞれに越冬準備してひますアナタはおひげワタシはタコで

手のひらをそろりと開き願いけるとどまらざるは何を知りしか

可愛さの罪を指摘す歳になり初めて花の可愛さを知る

車中にて取り逃がしたる亀虫の忘れ難しき怒り肩かな

その水は磨かれし枠で空中に持ち上げられつ影を創れり

響ける彼の男声は入れ歯なり喜ばしかな妻の繊細

一日の終り華やぐ思い出を離れた人に贈りけるかな

柿の木の激しき気性が現れる枝振り、色、季節に針指す

そのままでいいことがあるそのときは他にも見つけて言ってあげよう

山の葉が自ら色の変わること自覚できれば山を愛さん

頂上にご褒美のごと飛んでもない美人が居たと彼らは話せり

世界中愛すること出来るよに育てましょう形なきもの

夢を見ることはあるその夢と今起きてる僕の夢の違いは

会いたくて今すぐにでも会えないと死ぬと言いたい死なないけれど

彼の人は東に居りて日を撮りきその太陽のてまいに居ます

眠る子の頭をなでてそっとなでてなでてそおっと祈り込めけり

意味のないことを知らない悲しさと意味あることを知った哀しさ

正しきを言う人に会い哀れみて我は違うと隠喩さがせり

傷付いて傷付けたくなくなるのなら傷付けたことに傷つけばいい

なぜならば悲しみを忘れずに居ることで優しくなれる予定だ

臆病が原因だった振る舞いと知り得て一つ荷を降ろし去る

太陽背にしてゆくと見えてくる自分のかたちとあなたとの距離

月見ても変化なきこと憂いつつ若き狼二人育てり

月影の奥におぼろな灯りもち佇む君の火をぞ熾さん

我知らず何処へ向かって居るのやら我が笛の音はかくも明るし

東風に浮かび漂う秋空の雲頑なに陽を照り返す

公園のまなかを渡る蜘蛛の糸子等は掛からず少し高くて